右手前の対応
 右手前の苦手な馬への対応の仕方について教えて下さい。
 お馬さんに対する憧れは子どもの頃からずっとあったのですが、まさかこの歳になり私が馬に乗ることができるなんて、何て幸せなんだろうと1年経っても嬉しくてたまらない新米です。身体もとても硬く、馬のリズムに乗ることもいつもワンテンポ遅く、馬に乗る素質でいえばマイナス面しかない私ですが、馬が愛おしくて、生涯馬に関わって生きたいと思っております。
 ジョーバ博士のこのコーナーは馬に乗り始めてすぐに出会えて、毎日のように何度も読ませていただいております。(これぞ愛読書です。)ハミ受けをはじめとして、まだまだ乗馬用語もわからないことだらけですが、きっといつかわかるようになりたいと思いながら、読ませていただいております。
 これまでの沢山のご質問に対する回答の中に、知りたいことのほとんどが出ているのですが、今回は1つ質問させていただきます。(前述されていたら本当に申し訳ありません。)
 やっと前よりは少しは駈歩が安定しつつあり、三級取得にむけての練習を始めました。馬が沢山いるクラブなので、普段は色んな馬に乗らせてもらい、それぞれの馬に対応しきれず四苦八苦することもまた楽しいと思っているのですが、中でも一頭性格というのか、わからないながらも相性というのか、大好きな馬がいて、その馬には月に2度乗せてもらっています。
 その馬は本当に真面目な性格で、いつも頑張って常歩も速歩も駈歩も動いてくれるのですが、先生もおっしゃっており、また私も乗っていて感じるのですが、右手前になると途端に何だかギクシャクした動きになってしまいます。もちろん私の未熟さがそれを手伝っているのですが・・・。
 先日はじめて先生が「この子は右手前でも、いつも少し顔が左に向いてしまう癖があるから」と言われました。三級経路を練習してみると、地上横木通過後の速歩の半巻で常歩になりそうになります。また右手前駈歩の巻乗りも数歩速歩になってしまい、駈歩半巻も同様です。顔が左を向いてしまうのなら、向かないように右の手綱が緩まないようにすればよいというものなのでしょうか?
 少しでもこの馬が右手前でもスムーズに動きやすいようにすること、馬の動きをさらに邪魔することのないようにすることは、私のような初心者ではできないものでしょうか?教えていただけたら嬉しいです。
 それでは長々失礼いたしました。
 いつかジョーバ博士にレッスンしていただけたら嬉しいですが、それはかなわないかもしれません。馬と対話しながら乗れるライダーになれるよう、馬に乗せてもらっている1回1回を大切にしていきたいと思います。

(50代前半・乗馬歴1年4ヶ月・約130鞍)
 短期間に130鞍乗られたのは立派です。
 さて質問ですが、右の馬体が左に比べて硬く、十分な内方姿勢が取れないことが原因です。調教する立場からすれば左右均等が望ましいので、悪い方(右の方が硬い馬が多い)を改善するように努力はするのですが、生まれつきの問題もあり全く同じにはなかなかなりません。首だけではなく馬体全体が硬いのですから、内方手綱のみを強く使ってもうまくいきません。内方脚を強めに使って、推進を強くすると共に馬体を曲げるようにしましょう。場合によっては内方脚の直後で鞭を同時に使う必要があるかも知れません。
 お客様にもよく言うのですが,脚や拳は左右同じに使うのではなく、左右が同じ運動になる様に強さを変えて良いのです。(ただし手綱のみを強くしてはいけません)
 ちなみに内方姿勢が不十分な馬の改善方法として、速歩での「肩を内へ」、駈歩での「反対駈歩」の運動が有効ですので、そうした運動もだんだん覚えてください。

(ジョーバ博士)


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